投稿者:足のケア専門家(フットケアスペシャリスト)
フットケアスペシャリスト 桜井祐子
このコーナーでは、毎月、足のケア専門家・フットケアスペシャリストが自宅で簡単にできる「セルフフットケア法」をお伝えしていきます。
第2号は、「足の保湿ケア」の方法をご紹介します。
足の裏がガサガサと乾燥しやすいのには、大きく3つの理由があるのをご存知ですか?
★足の裏が乾燥しやすい理由その1:足の裏には「皮脂腺がない」
皮脂腺とは、皮脂を分泌する器官で、真皮層にあり、毛穴に開口しています。皮脂は、毛穴から出て角層の表面に広がり、水分の蒸発を防いで、肌の潤いを守る役割をします。ご存知の通り、足の裏から毛が生えている人はいませんね。このように、足の裏には、皮膚を保護するベールとなるはずの皮脂が出ないので、油分が不足しやすく、乾燥しやすいのです。
★足の裏が乾燥しやすい理由その2:足は歩行で「摩擦を生じる」
足は、からだの土台です。私たちは、靴を履いて歩くことで、足が全体重を一歩一歩、片足で大地を踏みしめながら、からだを支えていますね。靴ひもの結びが弱いスニーカーやヒールの高いパンプスなどを履くことにより、靴の中で、足は前方に滑り動きます。足が靴の中で前後左右に動き、摩擦が生じることを「剪断(せんだん)」と言います。この剪断圧力が強くなると、皮膚は、保護機能が働き、皮膚を厚くしようという防御センサーが働きます。厚く硬くなった皮膚は、潤いを保ちにくくなり、柔軟性を失い、乾燥し、ガサガサ・ひび割れカカトを作るわけです。
★足の裏が乾燥しやすい理由その3:足は末端のため「冷えやすい」
心臓から最も離れている足は、血行が悪くなりやすいですね。血流が悪くなると、肌に栄養が不足しやすく、皮膚の再生サイクルがくるいやすくなります。足を冷やさないような工夫をすることも乾燥対策の一つとなります。
効果的な足の保湿のすすめ
足裏の角質層は、約0.08mm〜最も厚いかかと部は約2mmの厚さがあると言われています。これは、サランラップ1枚分の厚さがある顔の角質層よりも約4〜100倍の厚さです。顔と同じ保湿クリームでは、奥まで浸透しにくいですね。足には、足専用のクリームがオススメです。
保湿クリームの量は、大人の人差し指の一番先から第1関節にのる量で、約0.5gに相当すると言われています(チューブの穴の直径が5mm程度の場合)。これは、1FTU= One Finger-Tip Unitと呼ばれ、大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができるそうです(体表面積の約2%)。足の裏と甲全体を網羅する量は、2 FTUの量に相当します。
クリームは、足全体にやさしく塗布し、しっかりすり込みます。この時、足の裏の足底紋(そくていもん)と呼ばれる皮膚のしわに沿って擦り込むと浸透が良いです。手に指紋があるように、足にも足紋があるのです。もちろん皮膚科で白癬(水虫)がいないことを確認してからにはなりますが、足裏の角質が極端に厚い方は、適度に削ってから、またパサつきが特にひどい方は、化粧水→ビタミンE配合オイル→クリーム→サランラップやアルミホイルでパックなどの特別ケアを時には行ってもいいでしょう。
1日3分 足をしっかり保湿することで、ひび割れバサつき知らずの弾力がある足裏を取り戻すことが可能です。手に負えない場合は、皮膚科や足のケア専門店 フットケアサロンのスペシャリストに相談してみましょう。
引用・参考
甄 雅ケン, ヒト身体各部位における角層の層数と機能の解析, 1998, http://hdl.handle.net/10097/21567
足専用のクリーム「ジクタボールシリーズ」ドイツ, 株式会社佐鳴
http://www.sanaru.co.jp/05foot/05_02.html
皮膚科Q&A, 日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa39/q03.html