投稿者:春日部中央総合病院 理学療法士
榊 聡子

糖尿病による神経障害や動脈硬化による様々な足のトラブルを足病といいます。
動脈硬化の進行による足の血流障害や神経障害により足の創に気づかずに悪化させて、趾の切断を余儀なくされます。
足病が進行すると長く歩けなくなったり、歩くことが制限されたり、今まで当たり前のようにできていたことが困難になってしまいます。
そして足病の悪化は生命予後にも影響を与えます。
普段フットケア外来で足病患者の診療をしていると、足に合わない靴を履いて靴擦れしていたり、「何でこんなに創が悪化してからきたのか?」という場面に遭遇します。
「もっと早く診察に来ていれば足が切らずに済んだのに」と感じることがよくあります。
足病は早期発見と適切な治療を行うことが重要です。
世界的には、足病治療において医師や看護師をはじめ、理学療法士、義肢装具士、薬剤師、栄養士などのチームで関わる事が推奨されています。
しかし、どこに行けば足病を診てもらえるのか、適切な治療とはどんなものがあるのか?などの情報は少なく治療法などは確立されていないのが現状です。

そこで我々は、足病に対してどんな治療が安全で効果的なのかを確立していくために、「足病患者のリハビリテーション研究会」を発足し、幾つかの施設と協力して研究活動を進めています。
そしてより多くの足病患者を救えるように、全国規模の研修会「Foot Rehabilitation Expert Evidence(FREE conference)」を年に1回開催しています。(本年度は2019年2月24日開催予定)
足病の診療では、身体的な問題、生活習慣、社会的背景などの影響により再発を繰り返す患者さんを多く経験します。
よって医師、理学療法士、義肢装具士、看護師と情報を共有して、それぞれの専門性を発揮する必要があります。
理学療法士としては生活習慣や歩き方・足の変形・筋力などの評価を行い、医師や義肢装具士と相談しながら治療を進めていきます。
義肢装具や免荷用デバイスを使用するため、理学療法士と義肢装具士の関わりは特に重要と考えています。

しかし、理学療法士や義肢装具士を含めた研修会は全国的にも殆どありません。
そこでFREE conferenceでは足病患者を発症予防、創傷治療、再発予防など長期的に多職種が専門的にサポートできるような知識と技術を身に着けられる研修内容を企画しています。
我々は、足病においてリハビリテーション職種が専門性をもって、何が効果的で最良な治療かを、多くの仲間と共に研究活動と啓蒙活動を続けていきたいと考えています。
そしてこの活動がより多くの足を救うことに繋がる事を心から望んでいます。