投稿者:下北沢病院
医師 菊池守

何かのきっかけで母趾の爪が一度剥がれて以来、爪が変形してしまって生えてこなくなった、伸びなくなった、という方がいらっしゃいます。

母趾は一番体重がかかる足趾です。歩行のたびに地面から強く押し上げられ、通常母趾の爪はそれを押し戻すように働きます。しかし何かのきっかけで爪が剥がれてしまうと歩くことによって地面から押し上げられる母趾の肉を上から抑えこむことができなくなってしまいます。
そうなると歩行のたびに母趾の先に肉が盛り上がった状態になってしまいます。

そこにしばらくしてもう一度爪が生えて来ようとするとどうでしょう、爪は先に向かって生えたくても立ちはだかる肉の壁に阻まれて前に進むことができません。結果として爪は通常の前方向ではなく上方向(分厚くなる方向)に生えるしかなくなり、変形して肥厚した爪がやや曲がりながら生えてくるようになってしまいます。

爪がまっすぐ生えるのは簡単なことではありません。赤ちゃんの頃の薄い爪からずっと、爪は足にかかる力を抑えるために働き続け、今に繋がっています。それが一度剥がれてしまうと、途端に正常な生え方が出来なくなってしまうのです。

何かを落としたり、マラソンの後などで爪が剥がれた後に爪が生えて来たら、爪が生えてくるまで母趾の先をテーピングで裏側に向けて引っ張るようにしておきましょう。
もし変形してしまった場合は、一度変形した爪を切ってしまったりヤスリで削ったりして環境を整え、さらに爪の前の肉の盛り上がりをテーピングで押さえ込みながら少しずつ伸ばしていきます。爪の手入れをしながら少しずつ伸ばしていくため1年以上治療にかかる場合もあります。

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菊池 守

菊池 守

院長下北沢病院
「教えて、足病先生!」塾長であり日本初の「足」の専門病院の院長。 日本で「足病科」「足病学」を確立する礎となる病院にすることが目下の目標。