投稿者:佐賀大学医学部附属病院
看護師・助産師・リンパ浮腫技能士 渡辺直子

➀リンパ管の働き
今回は前回の静脈と一緒に身体の中のお掃除やさんであるリンパ管のお話しをします。リンパ液が流れる管はリンパ管と呼びます。リンパ管は、血管で運ばれた栄養や酸素を細胞が受け取ったあとの、大きな分子のタンパク質や病原体など通常血管には入らないものを運びます。リンパ管の大きな働きは4つあります。➀タンパク質や老廃物を血管へ送る。②免疫への働き(免疫細胞の1つであるリンパ球は胸腺と呼ばれる器官で、的確な指令を出して、外敵から体を守ります)➂吸収した脂肪分を運ぶ④タンパク質、有害な生物(ウィルスなど)、老廃物をろ過する。リンパは体にとって身体の中の関所であり下水道、浄水場のような存在です。

②リンパ浮腫とは
リンパ浮腫は、リンパ管の圧上昇により、リンパ管の内皮細胞が薄くなってリンパ管の平滑筋が厚くなったため、本来のポンプ機能が無くなり、最後は内腔が閉塞しリンパ機能不全となったためにリンパ液が逆流し、皮下にリンパ液が貯留した状態です。皮下に高たんぱくのリンパ液が貯留することで、皮膚の線維化や蜂窩織炎などの炎症を引き起こし、更にリンパ機能低下が起きます。近年リンパ浮腫の進行におけるリンパ管の硬化等が発表されリンパ浮腫の診断や進行状態を把握することは、治療の選択を行う上で重要となっています。主なものではリンパシンチグラフィーによる分類やICG(蛍光リンパ管造影)による局所の進行度分類などがあります。超音波による病的なリンパ管の検出もできるようになってきました。全身のリンパ管機能・局所のリンパ管の状態を正しく診断し、治療方法を検討します。治療法では、第一に複合的治療が一般的に行われます。また、疼痛やリンパ小胞がある場合などには外科的治療も確立してきました。
看護としての視点では、患者さんは、下肢の形状変化により、ボディーイメージの低下や自己効力感の低下を招きやすくなります。このような場合、一旦セルフケアを導入しても、「どうせうまくいかない」とあきらめてしまい、継続が困難となる場合も多くあります。特に、続発性リンパ浮腫患者さんは、がんの受容過程とともにリンパ浮腫の受容を行うことになる為、疾患の受け入れに時間を要します。看護師は、患者さんの今、何が必要で何が不足しているのか?各要因別に患者のセルフケア能力のアセスメントを行い、患者さんの全人的苦痛緩和を図りつつ、急がず患者さん自身がセルフケア獲得を自己決定できるよう支援することが大切です。また、リンパ浮腫のような患者の長期的援助を行う為には、多職種支援が必要であり病院内での連携のみでなく、介護等幅広い地域包括システムを活用する事が望まれます。