投稿者:下北沢病院 整形外科医 足病総合センターセンター長
菊池 恭太
朝日新聞 掲載記事より
<質問>
59歳女性。歩くと、足の中指と薬指の付け根あたりに刺すような痛みを感じます。整形外科でモートン病と診断されました。湿布やストレッチをしていますが治りません。治療法を教えて下さい。(東京都・M)
Q:どんな病気ですか。
A:足の中指と薬指の付け根部分の神経が刺激され、神経がこぶ状に膨らみ、歩くと周囲にひりひりとした感覚やしびれなどが生じます。特に痛みを感じるのは足を踏み出すときで、女性に多く見られます。
Q:原因は。
A:普段の生活で足に繰り返し生じる負担が原因です。例えば、ハイヒールなど足の前側への負担が大きい靴や、先細りの靴などをはいていると、足が圧迫されて神経が刺激されます。中腰の作業やつま先立ちの姿勢が長く続く人もなりやすいです。中高年の方が多いですが、20代や30代の患者もいます。
Q:治療法は。
A:まずは保存療法が基本です。医療機関で診断を受けて、自分に合ったインソールを作り、足にかかる負担を減らします。炎症を抑えるためにステロイド注射もします。量によりますが、1、2カ月に1回の注射を2、3回して様子を見て下さい。保存療法によって半年以内に多くの人は改善が見られます。
Q:他には。
A:患部の負荷を減らすことが大切です。ハイヒールは避け、かかとが低い靴や足底の衝撃吸収性が高いスニーカーなどを選ぶのがいいでしょう。アキレス腱(けん)のストレッチもしてみて下さい。
Q:改善しない場合は。
A:手術する方法もあります。痛みのある神経の近くの靱帯(じんたい)を切り、神経にかかる圧力を減らすものです。また、神経にできたこぶが大きい場合は、取り除くという方法もあります。もわっとした感覚が1、2年続きますが、取ってしまえば再発のおそれはありません。
朝日新聞 掲載記事(2018.10.16)より