投稿者:済生会川口総合病院
医師 高山かおる

爪は硬いので骨だと誤解されることがとても多いのですが、実は皮膚の付属器の一つでケラチンというたんぱく質からできています。指の先にある爪母という部分からつくられて、前に伸びてきます。正常な爪は透明で、ぴたっと爪床という爪のベッドにあたる部位にくっついています。透明なので爪床の皮膚の赤い色(毛細血管の色)が透見されてピンク色にみえます。爪が指の先までのびると爪床からはなれて白い部分にかわります。爪には①指先を守る、②指先の力を増加させる、③指先の知覚を敏感にする、④指先の力のバランスをとるという大切な役割があります。
さて大切な爪ですが、様々なトラブルがおこります。その一つが形の異常です。今回はその中から爪の厚くなる疾患について二つ解説します。
厚くなっている場合に一番頻度が高い疾患が爪白癬(爪水虫)です。爪の下に白い角質がたまって堆積し、爪が白く厚くなります。クサビ形に白くなったり、爪と爪床がはなれて爪甲剥離という状態になったりします。爪白癬は足白癬を長らく放置した場合にかかります。日本人の罹患率は非常にたかく、特に高齢になると罹患率があがることが調査でしられています。たかが水虫とおもうかもしれませんが、爪が厚くなると爪切りができなくなり、布団にひっかけて出血したり、靴が履けなくて困る方もいます。また厚い爪は転倒リスクになることもしられていますから、ひどくなるまえに早く治療にむすびつけることが大切です。治療選択肢は現在だいぶ増えました。外用薬2種類(ルコナック®とクレナフィン®)があります。また多くの爪に病変がある場合や厚みがひどかったら内服薬をのむという選択肢があります。皮膚科専門医を受診し、しっかりなおるまで治療を続けましょう。

もうひとつ爪の厚くなる爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)といわれる疾患があります。爪が何重にもかさなっている状態です。多くの場合は靴にあたって出血をした後から、スポーツをして爪を痛めた後から、巻き爪などで炎症を起こしているうちに生じたりすることが知られています。またきっかけがわからない場合も多くあり、その場合には靴の形が足に合っていない場合に緩徐に進行したり、足の変形とともに爪が変形したりとやはりなんらかの外力が原因になっていると推測しています。治療法は外科的には悪い爪をすべて抜いてしまう全抜爪や、爪をのぞいたあとに指の骨を削るというものもありますが、保存的には爪甲の厚みをグラインダーでけずって整えます。なかなか正常な形には戻りませんが、厚いために痛みで困ることは少なくなります。治療できる場所は少ないですが、皮膚科専門医や爪外来、フットケア外来をもつ病院、フットケアスペシャリストのいるサロンなどでも対応できることがありますので相談されるといいでしょう。

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