投稿者:佐賀大学医学部形成外科技術補佐員
足病Ns ishibashi メディカルoffice
石橋 理津子

「足の病気 其の一 糖尿病」
皆さん「糖尿病性足病変」って、知ってますか?

A:「今日病院いったんだけどさ~。HbA1cがえらくあがってたよ。
ここ最近、仕事が忙しくてさ。積み荷の時間とか、ギリギリでさあ。
慌ててたら荷物を足の上に落としちまってね。
痛くなかったからほっておいたんだけど、急に足が腫れてきちゃって参ったよ。
これじゃ仕事になんねんなあ~」

B:「私はHbA1c、合格だったわよ。7,0。ギリギリセーフ!
頑張って運動したの。シューズも新調したのよ。
ほら、格好いいでしょう?私のサイズがなかったから、ちょっと大きかったけど買っちゃった。
頑張って走ってるんだけどさ~、なんか足先に水ぶくれみたいなのが出来ちゃって困ってんのよ。」

C:「俺なんか、靴がどれも合わなくってね。
足の形が変なんだよね。ちょっと人と違ったのかなあ。
でも俺、もう足がないからさ、靴もいらねえや。笑笑。
でもAもBも、そのうち俺みたいになっちまうよ。」

A・B:「!!」

 

さて、今回は「足の病気 其の一 糖尿病」です。

3人の会話にお気づきでしょうか?かれらはみんな、糖尿病のようですね。
Cさんは足がないようです。またAとBの会話を聞き、自分と同じようになる、と予告しています。
それは何故でしょうか?


 
Aさんの言葉に注目してみましょう。
HbA1cが高いといっていますね。仕事が忙しく運動療法や食事療法がうまくいかなかったのでしょう。またお仕事は、どうもトラック運転手のようですね。仕事中に荷物を落としています。でも「痛くなかった」と言っています。

①ここに注目!

重い荷物が足の上に落ちても痛みがないということ、これは糖尿病の合併症である神経障害があることが疑われます。痛みがわからない、といった症状です。時には足が痺れる、足の裏に紙が張り付いているような感じがする、泥の上を歩いている感覚、と表現されるかたもいるようです。痛みがわからないなんて、なんて素敵なの!!と感動してる場合ではありません。痛みがわからないとどうなるでしょうか?足に傷が出来たときに気が付かないのです。また足は不潔になりやすく、また体重の負荷が常にかかっています。傷にとっては成長するにはとっても良いところ。傷はどんどん成長を遂げ、バイ菌と手を組み、傷から体内に侵入していきます。これを「感染」といいます。Aさんは足が腫れているといっています。これは明らかに感染の症状です。気づいたときにはもう手遅れ。感染が拡がり、くいとめるには足の切断しかない状況を招いてしまいます。これは糖尿病の合併症である神経障害からくる糖尿病性足病変です。
 


 
次にBさんの言葉に注目してみましょう。
運動療法を頑張っているようです。ランニングを始めたといっていますね。ランニングには靴が必要ですね。Bさんはランニングを始めるために靴を新調したといっています。しかもサイズの大きな靴。

②ここに注目!

みなさん、新しい靴を履いたときに靴擦れを起こしたことがありませんか?結構あることですよね。Bさんの場合も同じ靴擦れのようです。その原因は足に合わない靴を履いたために靴の中で足がずれ、足先が圧迫され出来たと考えられます。おそらく正しい靴の履き方もしていなかったのではないでしょうか?水疱が破れてしまうと、そこからバイ菌が体内に侵入し、Aさんのように足が腫れてくるかもしれませんね。
糖尿病のある方は、足に傷ができないよう細心の注意が必要なのです。

 


 
最後のCさん。
すでに足を切ったと言っています。かれの言葉に注目してみましょう。
足の形が変だといってますね。人それぞれ足の形は違います。しかしCさんは自分の足を形が「変」と言っています。

③ここに注目!

糖尿病の神経障害が進行すると、足の変形が起きやすくなります。足のゆびが曲がったり(ハンマートウ、クロウトウ)足そのものの形が崩れたりします。足の骨が破壊されていることもあります。(シャルコー関節)このような変形した足では市販の靴が合わないとは当然のことです。またタコができやすい状況にもなります。神経障害があるとタコによる痛みを感じないため、タコが原因で潰瘍になったりすることが多々あります。そのため、Cさんは足を切ることになったのでしょう。

 
 
 

糖尿病で足を切らないようにするためには?

①良好な血糖コントロール
血糖コントロールが悪いと合併症も起きやすくなります。
まずは合併症を起こさないようしっかりと血糖をコントロールすることが大事です。
②自分の足に関心を持つ
Aさんが足に関心を持っていたら、足の傷にすぐ気づいたでしょう。
③足をきれいに洗う
足をきれいに洗う動作の時、必ず足を見ますよね。
足をしっかり表裏・ゆびの間まで見ることが大事ですね。
④足にあった靴を選ぶこと
市販の靴のサイズはメーカーによって違います。
きちんと自分の足を計測し、実際に履いて歩いてみることが大事です。
通販はちょっと危険かも?ですね。
⑤正しい靴の履き方を知る
靴を履くときは、踵をトントンと合わせて履きましょう。
また紐靴は毎回ほどいて結ぶこと。
ゆるゆるの紐の結び方は、足に靴が固定されず靴の中で足が滑り摩擦をおこします。
ゆび先も靴の中でガンガンあたりますよ。超危険です。
⑥タコ(胼胝)や魚の目(鶏眼)は早めのお手入れを
糖尿病外来があるところでは糖尿病の患者さんの足を守るためにフットケアを実施してくれます。
あなたが通っている病院でもできるかも?まずはお医者さんに相談しましょう。
⑦正しい爪のケア
爪は深爪にならないようにしましょう。
巻きつめの原因になります。
また誤って皮膚を切る恐れもありますよ。
⑧靴下をはきましょう
室内で足を怪我することって結構あるのです。
タンスの角に足をぶつけた経験ありませんか?
部屋に落ちていた物を踏んづけたことはありませんか?
以外に室内は危険ゾーンです。
靴下1枚履いていれば傷ができる恐れも少なくなりますね。
また傷ができたときすぐわかるように白い靴下を着用することをお勧めします。
黒い靴下だったら、血がでてもわからないですもの