投稿者:医療法人朝霧会じんの内医院
看護師
安藤恭代

透析室と言っても色々な役割を担った透析室があります。
例えば、急性期の患者の血液透析(以下HD)を行う透析室や透析導入施設の透析室。
維持透析施設や入院透析を行うための透析室などと、病院規模等や地域性に応じて役割が異なります。
しかし、透析室でHDを受ける患者に違いはありません。
性別や透析歴、原疾患は違えど同じHDもしくはオンラインHDFを受ける患者なのです。

また、腹膜透析(PD)や在宅透析(HHD)を受ける患者も少数ではあるが存在し、定期的な病院受診も行う必要があります。しかし、各施設で勤務する看護師はその施設の役割に応じてHD中の患者とコンソール(透析監視装置)の管理を行いながら看護を行っています。

 施設によっては、その環境と役割から透析室でのフットケアを行うことが困難な施設もあり、その環境にジレンマを感じ悩む看護師も少なくはありません。
「フットケアがしたくても、できない。」、「あの時、足を看ていれば。」と考えている看護師も少なくはないと考えます。
日本透析医学会「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」において、末梢動脈疾患(PAD)に対するすべての治療の基本となるのは,爪・皮膚のケア,足浴,禁煙,運動療法などの一般的な治療法であると明記されています。

 透析患者に関わる看護師や医療従事者は協働して、患者の足をまず「見る」ことから始めてみてはどうでしょうか。
透析患者は、ドライウエイト(DW)が適正でなかったり、体重増加が多い、低アルブミンの患者に対して足背や下腿の浮腫の状況を観察する必要があります。
この時に患者の靴下を脱がせて足を見て皮膚の状況を観察し、足に触れて動脈触知の確認を行うことで足の状況を同時に観察できます。

 日本透析医学会のわが国の透析療法の現況によれば、60歳以上の下肢切断率は、4.4%、75才以上では3.0%とされています。
HDの際に、限られた時間でのフットケアができる環境にない看護師は、まず足を見ることから始めていただきたいです。
そして異常があれば医師へ報告し必要であれば検査や治療が開始となります。

 私たち、透析室で勤務する看護師は限られた時間で、ワンフロアという環境で多人数の患者のHD治療の管理を行っていく必要があります。

 まず、自施設で行えるフットケアはどのような形なのか?
それを継続することができるのかを考え、私たち看護師が行うフットケアは透析患者の足を守るだけでなく、命を守るケアである事を透析患者に関わる看護師に伝えたいと思います。