投稿者:医療法人朝霧会じんの内医院
看護師
安藤恭代

現在、慢性腎臓病(CKD)により、血液透析療法(HD)を受けている患者数は2016年末日で32万人を超え、透析導入原疾患は1983年では、糖尿病性腎症が15.6%を占めていたが、2016年では43.2%と増加しており、現在では透析導入原疾患第1位となっています。

 透析導入年齢では、1983年は、51.9歳であったのが2016年には69.4歳と高齢化が進んでいることが理解できます。

 このような背景の透析患者は、透析導入前より高血圧から動脈硬化ないし血管中膜の石灰化が高度であり、また、カルシウム・リン代謝異常により二次制服甲状腺機能亢進症などを介して血管石灰化を促進していると考えられ末梢動脈疾患(PAD)のハイリスク患者であることが広く知られています。

これらの背景から、2016年4月「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」の算定が開始となりこの加算をきっかけにフットケアを導入した施設も少なくないようです。
透析室では、このような特徴をもつ患者を多人数、同時に治療し看護を実践していく必要があります。
CKD看護の意義は、毎日の透析生活をつつがなく送り、また必要な自己管理を実行していく事が求められています。

 CKD看護は、困難な食事療法に加え薬物療法や病状に合わせた日常生活の変更、通院の継続など様々な課題に患者自身が向き合い、病気があっても健康的に安定した生活が営めるように看護をすることによって療養生活の継続や生命予後・QOLの向上への貢献。
そして最期まで尊厳をもって人生を全うすることを支えるものであると「腎不全看護」でおいて述べられています。

 透析室の看護師は、患者の日々の生活を守るために日々透析中の管理を行いながら予防的フットケアや創傷ケアまた、エンドオブライフケアを同時に行う必要があります。

 足病変を発症すると、歩行が困難となり入院生活に至るケースも多く、最終的には、下肢切断に至る事例を多くの透析室看護師が経験していると思います。
足病変を発症した患者は、自分の足が、日に日に冷たくなり黒くっていくのを見届けるという経験をします。
自身の足に起きている変化を認識していき、不安と痛みのなか週3回HDを受ける必要があります。
HD中の安静は非常な苦痛を与え、HDに伴う血圧変動や血流量に関連して生じる下肢虚血に伴う耐え難い下肢痛に対して、透析室の看護師は医師とともに疼痛緩和の方法を考えていく必要があります。ケアする看護師も辛いですが、患者自身はその何百倍も辛いのです。
透析室看護師は、痛みに耐える患者のもとで体位の調整や下肢のマッサージを行うことが必要であると考えます。

 私たちは、この患者にどのような看護が最善なのかを考え実践していく必要があります。