投稿者:株式会社ワイズ・スポーツ&エンターテイメント
山本晃永

みなさん「ジョーンズ骨折」というケガをご存知でしょうか。サッカー選手に多い障害で、足の第5中足骨という部分に起こる疲労骨折です。
私はアスレティックトレーナーとして多くのサッカー選手のリハビリを担当してきました。
その経験からこのジョーンズ骨折をなんとか予防できないかと順天堂大学大学院で研究をしました。その時行なった研究のお話をさせていただきます。
ジョーンズ骨折は高校生でも年間1000件以上起こると報告されています。また海外のサッカー選手と比べると日本の選手のほうが2.5倍の発生率という報告もあります。海外の選手との違いは実際に海外の選手のデータをとっていないのでわからなかったのですが、多くの高校年代のトップ選手のデータをとり、いくつか予防にもつなげられそうな結果が得られました。
足の構造は「3つのアーチで支えられている建築学上の天井」と言われています。内側、外側に縦、そして中足部に横のアーチが存在します。しかし本来、外側のアーチの高い天井部分の第5中足骨基部に、なぜジョーンズ骨折は起こるのでしょうか。その部分に慢性的なストレスがかかっていることから疲労骨折が起きているはずです。
研究ではいくつかの仮説を立てて調べてみました。

①片足で立った時に外側の骨折部分に足底圧が最も高くなっているのではないか。
②手でいうとゲンコツの関節、MP関節が硬いのではないか。
③歩行時に通常は踵から親指方向に抜ける足底圧が外側に抜けているのではないか。

研究では156名なので312足、既往歴があったのは8足でした。
①の片足立位足底圧では312足中58足が外側の骨折部分に最も強い圧のポイント(アーチの逆転)があり、既往歴8足は7足が当てはまる結果でした。
既往歴のもう1足は中足部横アーチの中心部分が最も強い圧のポイント(アーチの逆転)がありました(全体では33足)。
②のMP関節の可動域は全体的に硬かったのですが、特に中足部アーチの中心に圧がある足の選手が硬く、既往者の1名はその中でも群を抜いていました。
③足裏のインソールに圧センサーを付けて歩行時の圧の移動を測定しました。片足立位で外側に圧が強い選手は半数以上、中足部横アーチ中心部分に圧が強い選手は75%が、親指側でなく外側に逃げてしまう歩行になっていました。
結果をまとめると片足で立った時にすでに多くの選手の足部構造は崩れています。特に外側の骨折部に最も強い圧がかかっている選手は、キックの踏込時にさらに捻じれのストレスが直撃しているのです。足部のMP関節の硬さは、歩行が動きの基本と考えると、走る、跳ぶ、方向転換などいろいろな動きの中でも外側に体重が乗っていることが予想されます。
ではどうすれば予防できるでしょうか。やはりジュニア期から足の機能をしっかりとエクササイズによって維持していくことが重要になります。MP関節を柔らかく、そして足指の筋肉を鍛える。また足だけでなく、股関節や体幹の機能も高めることでストレスを軽減することに繋がります。私たちはお家で簡単にできるエクササイズを選手にも指導しています。
その結果、ジョーンズ骨折は起こらなくなってきましたし、競技パフォーマンスも上がっています。足部機能はケガの予防にもパフォーマンスにも大切なのですね。みなさんもぜひ注目してみてください。

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