投稿者:大阪大学大学院 医学系研究科 バイオデザイン学共同研究講座 山下和彦

1.はじめに
外反母趾など足部の骨格の問題や痛みに悩む人は年代を問わず、大変人数が多い。近年は小学生にも外反母趾が多く発生しており、早急な対策が必要である。子ども自身、あるいは保護者が、外反母趾であることを理解していないことも問題の1つであると言える。図1に子どもの足部に見られる課題を示した。踵が大きく外側に曲がっている状態、足趾の課題、外反母趾が一例として挙げられる。これらは観察から判断できることも多く、注意深く見てあげたい。
発達という観点からは、子どもの足部は軟骨から硬い大人の骨へと変化する成長期であるため、子どもの頃に形成された足部の筋骨格系は一生継続するものであり、骨格形成がうまく進めば、将来の足病のリスクも低減できる可能性が期待できる。子どもの足部の発達を考える際には、①骨格の形状(アーチ(土踏まず)の形成や踵など)、②筋力、③関節の柔軟性を検討したい。

図1 子どもの足部に発生する課題

2.子どもの足圧分布にみる骨格形成
①の骨格の形状という観点からは、人間の骨格形成は20歳ごろ完成すると言われている。その中でも小学生は骨化が進み、骨格の基礎を形成する上で重要な時期となる。図2は成長過程の骨格形成が終了した大学生の足圧分布の一例である。足部にある3つのアーチが十分に構成されず、足趾や踵の骨の形成にも不安が残る状況である。
図3に小学生の足圧分布から見た足部の成長の一例を示した。アーチ形成が進んでほしい時期でも十分な発達がなされていないことがわかる。一生のうちで骨格形成が大きく進むときに適切な支援と評価が求められる。

図2 大学生の足圧分布の一例

3.子どもの下肢筋力の発達
図4は子どもの下肢筋力の発達を足指力で評価した結果である。足指力は足趾の動作が密接にかかわることから末梢の機能が関係する。そのため、平均値的には男子は9歳と12歳、女子は12歳で大きな変化が見られる。青と赤の折れ線グラフはこれを越えていてほしい値である。足指力の発達と運動習慣を比べたところ、6歳の時点で週に1回以上の運動習慣がある群は運動習慣がない群に比較して1。4倍、週に3回以上の運動習慣がある群は1。6倍の向上率であった。積極的に足趾の機能を高める運動やケアは末梢の機能向上に有効であることがわかる。一方で、子どもの下肢筋力を個別に観察すると、機能が向上しない群も一定の割合で存在することから、遊ばせていれば足部が正常に発達するというものでもないことがわかる。

4.子どもの足部への運動・ケアによる効果の一例
図5は子どもに3か月間、運動と足部のケアを実施した足圧分布の変化の一例である。子どもの足部は骨格が柔らかいことから、外反母趾に発展するのも短時間だが、改善も短期間に認められる。図5は運動・ケア前には中足部が地面に接地せず、足趾も十分に接地していないが、3か月後にはそれぞれ改善していることがわかる。

5.おわりに
子どもの足部の発達を支援するためには、骨格、筋力、足部機能の見える化が重要である。つまり計測を行うことで、それぞれの課題が発見でき、さらに時系列的な変化を定量的に確認できる。子どもの足部の発達を支援することは一生を左右する大事なアプローチである。効果的な運動、ケア、フットウェア、積極的な医療的支援による新しい形を期待したい。

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