投稿者:下北沢病院 病院長
菊池 守
フットケアは足をトラブルから足を守り、元気に歩き続ける高齢者を増加させ、健康寿命の延伸に寄与します。
近年そのニーズはますます高まっており、将来的には病院やクリニックだけではその需要に答えられないことが予想されます。
しかし足にトラブルを持つ方が安心してフットケアを受けるためにも、またそういう方にフットケアを行う施術者のリスクマネージメントのためにも、フットケアの現場で「リスクの高い患者に対するフットケアの医療的安全性」を担保することは極めて重要です。
そのため我々は「安心してフットケアを行うために、どのような足が危険で、どのような足はフットケアではなく病院への紹介が必要かを確実に見極める」ことが出来るようになり、「参加することで病院のサポートが受けられるようになる」ための足の番人セミナーを開始しました。
ベーシックコースでは「危ない足(虚血、感染、神経障害)を見分け、問題点をアセスメントすること」と「フットケアの基礎知識」に焦点を置いた講義を行い、最後にテストをすることで、「足の番人」として認定し、ブロンズバッチをお渡ししています(同時に「足の番人」専用HPの掲示板で症例についての相談も可能となります)。
アドバンスコースでは看護師やセラピストによるフットケアの実践講座に加え、糖尿病(糖尿病内科医)、循環血流障害(血管外科医や検査技師)、むくみ(形成外科医)、フットウェア(義肢装具士やシューフィッター)、リハビリテーション(理学療法士)など、さらに足に関する知識を深めたい人向けのセミナーが受講可能で、複数の受講でシルバーバッチと認定されます。
さらにこれまでのコースで身につけた内容を自身の職場や地域に向けて発信して地域のフットケアに関する啓発を行う方、また講師としてご自身のスキルと知識を「足の番人」たちに提供していただいた方はゴールドバッチとして認定しています。
「足の番人」セミナーではさまざまな医療者、セラピスト、そのほかの職種の方たちが足についての知識を得ることができ、また段階的にステップアップしていくことで楽しみながら「足を守る」ための知識を身につけることが出来るようになる取り組みとして2017年から開始しました。現在世田谷区を中心に200人以上の「足の番人」が生まれていますが、今後も地域全体でフットケアが安全に行われ、同時に足の健康に関する認識が向上していくことを期待しています。