投稿者:日本フットケアサービス株式会社 義肢装具士
上口 茂徳

足病治療用のインソール

足の痛みは、歩く機会を無意識のうちに減少させてしまいます。最初は『歩く機会が減った』くらいに思っていたものが、徐々に筋力が低下し、いつの間にか歩きたくても歩けなくなってしまった・・・という患者様を多々見受けます。そのような辛い思いをしないために、足の痛みは早期に治療を行うことが望ましいと考えています。
足の治療を行う上で、最初に行うことは痛みがどのような原因で生じているかを見極めることです。足は関節の集合体ですので、足のバランスが崩れてしまうと痛みが生じやすい状態となります。その足のバランスの崩れを補正するのが、足底装具の役割の一つです。
足病学では、足底装具は大きく2種類に分類されています。足のバランスを改善させる機能型タイプ(Functional Foot Orthotic)と足のバランスを改善させることが困難な場合に足底圧を減少させる適合型タイプ(Accomodative Foot Orthotic)です。患者様の病態、症状などに合わせて、適切なタイプを選択して用いられることになります。

1.機能型タイプ(Functional Foot Orthotic)
足のバランスが崩れていると、本来持っている足の機能を十分に発揮することはできません。機能型タイプの装具は、踵から足趾の付け根までを、硬性のシェルで支持します。バランスを整え、本来持っている足の機能が発揮できるように、理想の位置に足を導くという考えになります(図1)。
『足の裏に硬いものを入れて痛くないの?』と思われるかもしれませんが、痛みの原因が足のバランスの崩れである場合、柔らかい装具では足のバランスを整えることができません。硬い素材で足のバランスを補正することが必要です。
カスタムメイドで、足の形状に合わせてバランスを補正することが望ましいとされています。

2.適合型タイプ(Accomodative Foot Orthotic)
糖尿病や下肢の末梢動脈疾患などで、足の一部を切断してしまった患者様や重度の足部変形がある患者様に用いられます(図2)。
足の一部を切断された患者様では、従来のように歩こうとすると残存した部位に負荷が生じてしまい、足に傷ができることがあります。負荷を低減するように足裏全体で体重を支えるようにします。
適合型タイプは、多層式構造によって、より効果的に足底圧を低減させることができます。体重や活動量によって素材の硬度を変えて対応します。

今回は、足病学で用いられる足底装具を主にご紹介しました。装具を挿入する靴も足を支えるには大事な要素です。次回は靴や靴型装具について紹介します。